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2011年1月 4日 (火)

年頭所信:初心者に向けた営業方針を

あけましておめでとうございます。

昨年末に発売された「D&Dスターター・セット」が好評をもって売れているとの報を聞いて、安堵している反面、ちょっとした疑念も抱いております。
もちろん、入門者向けとはいえ5040円もするような高額商品が売れているというのは喜ばしいことです。
5040円くらいなら、今のD&Dのサプリメントを毎月毎月買うような安定した収入のある皆様には痛くも痒くもない金額です。
そのため、今回の「スターター・セット」を買った人も、そういったお金に余裕のあるプレイヤー層がメインなのではないかと思います。

ここで疑問。
「D&Dスターター・セット」は、本当にD&Dを始めたい人の手に渡ったのか?と言うことです。
今のメインのTRPGプレイヤーが買うルールブックは、文庫だったり、3000円とか4000円とかのムックサイズ、それもちょっと大きな書店で入手可能なものばかりだったりします。
サイコロは別売りだったりしますが、ルールブックよりもはるかに入手しやすいものです。
そんなプレイヤーが、D&Dという高額商品に手を出してくれるだろうか?というのが最大の疑問です。
もちろん、内容の充実ぶりを勘案すれば、5040円という価格は十分に納得の行く価格ではあるのですが、しかし文庫のルールブック、たとえはアリアンロッドの基本ルールブックが700円台からの現在としては、絶対価格としては高額です。
(ただし、異論もあります。文庫ルールブックでも2分冊だったり3分冊だったりとか、サプリメントとかリプレイを買ったりもするので、客単価としては余り差が出ないのではないか?という意見もあることを付記しておきます。)
一方で対処策もあります。5040円で、プレイヤー4人+DM1人ならば、みんなで1010円ずつ出し合えば買えてしまう訳で、こうやって共同購入で負担を軽減する方法はない訳ではありません。
D&D第4版本体も、プレイヤーで遊ぶだけならプレイヤーズ・ハンドブックひとつあれば良い訳で、3冊揃えて2万円近い基本ルールブックを無理に揃える必要はないということです。

さて、ここまでは伏線です。
ここから私が申し上げたいのは、「TRPG業界は本気で初心者相手に営業方針を転換した方が良い」ということです。
以前のエントリーで書きましたが、Role&Rollの69号にて「初めてのテーブルトークRPG」という特集が載りましたが、中身はたった10ページ、しかも主要記事は過去の号を参照、さらにおすすめRPGとして現在入手不可能なシステムを挙げるというお粗末ぶりでした。
Role&Rollは冒険企画局で別冊を1つ作り上げることができるのですから、TRPG入門者向けに別冊をひとつ作れないはずはありません。
本気でTRPG初心者を増やしたいなら、たかだか10ページの特集でお茶を濁さずに、それこそ本ひとつまるまる使うくらいで本気のTRPG入門書を出してもらいたいものです。
過去に、アトリエサードが「TRPGがやりたい!!」「TRPGがもっとやりたい!!」と2冊も入門書を出しているのですから、やってやれないことはないのです。
新しいゲームを出すのは大変素薔薇しいことです。関連商品としてリプレイを出すことも珍しいことではありません。
しかし、そのリプレイがルールブックを理解する補助になっていなければ、いくらリプレイが面白かろうと意味はないのです。
現在世に出ている商業リプレイ作品で、「システムの入門者用に書かれている」リプレイは数えるほどしかありません。

なぜでしょうか。
問題は、今のTRPG業界の構造にあります。
20年前にTRPGが「静かなブーム」と呼ばれ、その5年に「冬の時代」を経験したTRPG業界は、今もなお「攻め」ではなく「守り」の営業市制を貫いています。
すなわち、「これから新しくTRPGを買ってくれそうな人たち」ではなく、「今TRPGを買ってくれていて、これからも確実に継続して買ってくれそうな人たち」をメインターゲットとして営業しているのです(「ゲーマーズ・フィールド」の会員制度なんかその際たる例ですね。「サポートが欲しければ会員になれ」っていってるんですから)。
しかし、保身に入ったままではいずれ先細りになって行くのは目に見えて明らかです。
出版業界は不況に喘いでいるそうですが、本の出版点数は逆に増えているのだそうです。
であるならば、今こそ、TRPG入門者をメインターゲットにした営業方針を再開すべきではないでしょうか?

例えば、入門書を出版する。
例えば、雑誌で入門者向けキャンペーンを展開する。
例えば、TRPGとはあまり関係のない雑誌でリプレイを連載する。
例えば…。
考え次第で色々あるはずです。

話をD&Dに戻します。
D&D第4版のプレイヤーズ・ハンドブックは、すっきりしたレイアウトで読みやすいという評判だそうですが(しかしルールが飛び飛びにあるので探すのが面倒だという声もあります)、実はアメリカではD&Dの入門書が発売されているのです。
その名も「Dungeons & Dragons 4th Edition FOR DUMMIES」(直訳すれば「バカのためのD&D第4版」)。


Dungeons_dragons_4th_edition_for__2

D&D4thを遊ぶために必要な知識、情報、技能の取り方、特技の取り方、戦闘の基本はもとより、プレイエチケット、プレイ仲間の集め方、おすすめのパワーベスト10、おすすめのモンスターベスト10、おすすめのD&D小説10作品あたりまでも網羅した、PHB本体よりも分厚い内容となっております。
これさえあれば本当にバカでもD&Dを遊べそうな解説書です。
ぜひとも日本でも出して欲しいのですが、どこかやりませんか?

先月のRole&Rollの特集は「TRPGのコツ!?」でした。
ようやく今日入手したのですが、色々な場面で使えるtipsが掲載されていて、非常に好印象でした。
こういった「プレイヤーの足下を支える」記事がもっと充実してくれば、TRPGプレイヤー増加の一助になると私は確信します。

本年もどうかおつきあいの程を。

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