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2010年4月 3日 (土)

ゲームの面白さは誰が保証するのか

コンベンションで出会った人やサークルの友人先輩などから、よく「◎◎と言うシステムは面白い」とか勧められることがある人も多いかと思います。
ルールブックを買う人にも色々ありまして、雑誌やネットの前評判を重視して買う人や、ゲーム出版社、制作者のブランドだけで買ってしまう人、実際に遊んでみて「面白い」と確信してから買う人など、様々です。

「◎◎と言うシステムは面白い」と言う推薦の言葉は、決して悪意があるものではないと思います。
ですが、その推薦の言葉は、保証されたものなのでしょうか?
たとえば、サークルの先輩が、「D&D4thと言うシステムは面白い。買え。俺が保証する」と言ったとしても、その言葉が真実でなかったとしたら、嘘をついていることになります。
お金がある社会人ならともかく、お金がない社会人や学生さんなどですと、ルールブックは未だに高い買い物であることに変わりはなく、おいそれと新しいゲームを盲滅法に買うという訳には行きません。
そこで、さっきの前評判や雑誌記事、ネット記事などを参考に、ルールブックを買うかどうかの判断をすることになります。

ここで問題になるのは、「他の人が『面白い』と評価したゲームは、これからそのゲームを買う本人も『面白い』と言えるものなのかどうか」ということです。
先の例で言えば、先輩が『面白い』と勧めたD&D4thは、本人にとって面白いゲームだと感じることが出来るのでしょうか?

この判断基準は非常に不安定です。
ゲームシステムが面白い、ユニークな構造だったとしても、そのゲームで初めてゲームプレイに入ったゲームマスターがへたくそだったり、シナリオがつまらないものだったりすれば、『このゲームは面白くない』という先入観が植え付けられてしまいます。
そしてこの先入観は、人によりますがなかなか消えるものではないのです。
「マスタリングがつまらない」「シナリオがつまらない」は、「システムがつまらない」と限りなくイコールなのです。
もちろん、後々のプレイでこの先入観が覆されることは十分考えられますが、この最初の躓きでそのゲームを遊ぶことをやめてしまう人が少なくないのも、また事実なのです。
逆に、「最初に遊んだセッションが面白かった」イコール「ゲームシステムが面白い」になる可能性も十分に考えられます。
この場合、「シナリオが面白い」「マスタリングが面白い」≦「ゲームシステムが面白い」になることが多いと考えられます。

ところで、昔のRPGマガジンには、新作RPGシステムを遊んでみて批評する、いわゆる「レビュー」という記事が掲載されていたことがあります。
中身はこんな感じです。

  • システムの概要

  • システム上の特徴の紹介

  • 背景世界の紹介

  • 実際に遊んでみての感想

  • システムの長所と短所

  • どんなプレイヤーに向いているゲームか

  • もっと昔のログアウト別冊には、ゲームシステムを50作品ほど4人がファミ通方式でクロスレビューした記事もありました。
    現在ではこの手の記事はまったく見られなくなり、「ゲームをレビューする」という手法自体が、業界内である種の禁じ手にされている感がありますが、「ゲームを批評する」という行為は、買い手だけでなく、作り手にとっても、「良い悪い」を判断する指標のひとつになる重要なファクターではないかと思うのです。

    ここでもうひとつ重要なのが、「リプレイ」の存在です。
    世に数多出ているリプレイは、元となったシステムの面白さを「保証」しているでしょうか?

    否。

    リプレイが提示しているのは「そのシステムを使ったゲームの結果」であり、「ゲームシステムの構造そのもの」ではないからです。
    リプレイを読んで面白かった、という人が言うのは、先に挙げたのとは逆に、「シナリオが面白い」「マスタリングが面白い」>「ゲームシステムが面白い」であるのが大多数です。
    リプレイが「保証」しているのは、プレイヤーの行動のプロットと、ゲームマスターが出した結果だけです。
    リプレイは最大限の結果を『提示』しているのであって『保証』しているのではありません。
    リプレイは「こんな面白いことが出来る」とは書いていますが「誰にでも出来る」とは書いていないのです。
    でなければ、以下のような人達が出てくるはずがないのです。

    たとえば、ソードワールドやアリアンロッドで、ゲーム終了後にゲームマスターに「リプレイにあるようなプレイが出来なかった」と文句を付けるプレイヤー。
    たとえば、リプレイだけを買い続けて読み続け、実際のゲームシステムに足を踏み入れてくれないリプレイ読者。
    たとえば、「きくたけのリプレイ」というだけで、ゲームシステムのことも理解せずにセブン=フォートレスやナイトウィザードやアリアンロッドのリプレイを盲目的に買い続けるプレイヤー。
    たとえば、コンベンションで卓を囲んだ他のプレイヤーやゲームマスターに対してリプレイの知識を要求し、それを知らないとなるととたんに他人を卑下、侮蔑するプレイヤー。
    たとえば…。

    雑誌の記事は新作システムを「ここが面白い」と煽り立てはしますが、その煽り立てているポイントが面白いという保証、反証をしているでしょうか?
    かつて、ホビージャパンが「ストームブリンガー」を発売したとき、ゲームのボックスについていた帯には「このゲームは面白い。」とマイケル・ムアコックの言葉を使って、形式上だけでも面白さの保証を押し出しました。
    コンベンションでは、ゲームマスターが「このセッションは面白いですよ〜」と「主張」はしますが、プレイヤーがそのセッションで楽しめるという「保証」はされません。
    同様に、店頭に並ぶゲームのルールブックは「このゲームは面白いですよ〜」と主張していますが、そのゲームが買った人にとって面白いという「保証」はされません。

    なぜ、ここまで「保証」「保証」にこだわるか、だって?

    だって、みなさん、安心してゲームを楽しみたいじゃないですか。
    よほどの好事家じゃない限り、好き好んで地雷セッションのテーブルになんか行きたくないでしょ?

    たとえば、サークル主催のコンベンションなら、初心者ゲームマスターのデビューを、サークルの代表者が「彼はルールを的確に運用しますよ」とか「この日のためにシナリオを練り上げてきましたので期待して下さい」などと言ってあげて、ささやかながら初心者マスターを「保証」してみる。
    たとえば、テーブルの中にTRPGが初めてのプレイヤーがいるというのなら、周りの先輩プレイヤーが「基本は20面のサイコロを振るだけですよ」「アナタの活躍をみんなでフォローしますから、肩肘張らずに楽しんで下さい」などと、初心者でもゲームを楽しめることを「保証」してあげる。
    ゲームの面白さを、第3者が「保証」してあげることで、プレイヤーは安心してゲームを楽しめることでしょう。

    同様に、ゲームの面白さ、システムの面白さを第3者が「保証」することで、新しくゲームのルールブックを買う人は安心してゲームを買うことが出来るでしょう。

    今のTRPG界に必要なもののひとつに、限りなく客観的に近い「批評、レビュー」があると私は思います。

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