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2008年3月16日 (日)

入門者への扉

当ブログには、ありがたくもコメントを付けてくださる方がいる。
当方の方針として、むやみに削除したり干渉するのは公平でないと思うので、よほどのものでない限りは自由にコメントできる仕様としている(SPAM対策チェックは入れてますが)。
さて今回は、前々回のエントリーにあったコメントについて、気になったところがあったのでお返事しようと思う。


>現在のルールブックが果たして「入門書」が必要なほど難解かどうかを考えたことはないのだろうか?
入門書がないのではなく、ルールブックを読めば十分理解できて必要が無い、ということを考えたこともないのだろうか?

私は、たとえ難解であろうとなかろうと、入門書は必要であると考える。
難解であるならば平易な、平易ならばより平易な入門書が必要なのだ。
約15年前、TRPGの「ブーム」が過熱した際、数多くのTRPG入門書が発売されていた。
これは当時のルールブックが難解だったからではない。
「TRPG」というシステム構造、遊び方、そして用語などなどを覚えるのに必要だったからである。
そして、これらは今現在でも、なお入門者への障壁として存在し続けている。
「ルールブックを読めば十分理解できて必要が無い」というのは、既にTRPGを分かっている側の驕りであり傲慢でしかない。
少なくとも、ルールブックを読むための国語力や、理解するための事前準備は整えてしかるべきである。
現在のTRPG界は、前者はともかく、後者を置き去りにしている印象が否めない。
振り返ってみてほしい。
あなたがTRPGを遊び始めたとき、何らかの形で入門書に目を通さなかっただろうか?
いきなりルールブックを読んで遊び方を覚えられたのならそれはすばらしいことだが、難解で閉鎖的なルールブックを、そうスラスラと読み通せる人は、昔はそう多くなかったし、現在でも少なくない。
自分も深淵第1版のルールブックを通して読むのに数日かかったし、重要なところはラインマーカーを引いていた覚えがある。
とにかく、ルールブックを読むため(理解するため)の事前知識が、TRPGには数多く必要なのは現在でも変わらない。
その事前準備を整えずに、いきなりルールブックやリプレイで、入門者に強飯を食わせるのが現在のTRPG界なのである。


>それから、ルールブックにちりばめられたコラムやルール説明用のリプレイが入門書のような役割を果たすと思うのだが。

そのコラムは本当に入門者用のコラムだろうか?
リプレイは本当にルールの説明を果たしているだろうか?
ルールブック収録のリプレイは、遊び方の指針にはなっているが、ルールの説明になっていなかったり、下手をすると入門者向けになっていないものすらある(例:深淵第2版)。
特に、「TRPGとは何か」という根本的な説明は、ルールブックによって記載量に大きな違いがある。
TRPGの基礎概念を丹念に紹介しているルールブックもあれば、本当に簡単にしか紹介していないものもある。
特にFEARのルールブック(●●●●●●●●ー●●●●など)は、あらかじめリプレイを読んでいる人を前提にルールブックが書かれているため、TRPGについての説明は申し訳程度にしかない。
それどころか、FEARのルールブックは人に読んでもらうための努力を放棄してしまっているため、「ソーソワールドは読めても●●●●●は読めない」というプレイヤーも確実に存在する。
脱線してしまったので元に戻すが、コラムやリプレイでチョロまかすよりは、しっかりとイロハを教えてくれる入門書が必要だということである。

はたして、そんな需要があるのか?と思われるだろう。
では、D&Dのベーシック・セットやビギナーズ・セットが売れているのはなぜか?
GAME JAPAN誌にTRPGの入門記事が連載されているのはなぜか?
Role&Rollで時折入門者向けの特集が組まれ続けているのはなぜか?
いずれも、新しいプレイヤーが増えてほしいという思いの現れである。
しかし、まだまだTRPG入門者への「壁」は高く、業界は確実に収益をもたらす市場へ向いている。
かつてのように、入門者への「扉」(ポータル)を開かなければ、この世界は閉塞に向かってしまうだろう。
その鍵は、今の私たちが握っているのだから。

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