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2008年2月23日 (土)

D&D隆盛の背景を考える

xenothの日記:TRPGは絶滅したか?

16年ほど前のTRPG界の過熱を知っている人は、時として「TRPGは衰退した」という人がいる。
しかし、本当に辛かった1995年から1998年あたりを「底」として考えれば、現在の状態は(16年前ほどではないが)かなり盛り返しているのではないか、と思える。
考えてもみて下さい。
TRPGを扱っている月刊誌が2つもあって、毎月新作なり関連商品が発売されていて、毎週のようにどこかでコンベンションがあって、プレイ環境は有志の手によって整備されている。
これは恵まれている状態ではないだろうか?

出版不況と言われる中、毎月毎月サプリメントをこれでもかこれでもかと出しているシステムがある。
あのD&Dである。
ホビージャパンが3.0を出す、と聞いた時は、誰も今のような状態を想像できなかっただろう。
だが、HJは最初こそもたついたものの、特に3.5が出る前後(もっと厳密に書けばフォーゴトン・レルムやエベロンが出たことで)勢いがつき、毎月サプリメントやらシナリオやらの関連商品が出るという、ファンにとってはうれしい悲鳴が続いている。
例えば、去年1年だけでも、これだけのD&D関連商品が出ているという事を調べたところがあるのでご紹介。

でみのげーむ:RPGの興隆の根拠

なぜこれだけ関連商品が出ているのかというと、ホビージャパンの輸入ゲーム事業課が本気になって展開しているのと、それに応える形で熱心なユーザーが商品を買い続けるという、需要と供給のビジネスモデルが成立しているからである。
事実、D&Dの基本ルールブックはもちろん、サプリメントも売れ続けていて、「不浄なる暗黒の書」「戦士大全」のように再版がかかったものもある。
(「次元界の書」や「サイオニクスハンドブック3.5」のように売れなかったものもたまにはあるが…)
しかし、ご承知のように、日本のD&D関連商品は基本的に高価である。
英語版のプレイヤーズ・ハンドブック3.5版はUS$29.95だが、日本語版は6090円。
しかもマスターするためには他にダンジョンマスターズ・ガイドとモンスター・マニュアルもいる(それぞれ6930円)。
基本ルールブック3冊だけで19950円!
深淵第二版のルールブック4冊買ってお釣りが来る値段である。
サプリメントも、安いものでは2000円台からあるが、一番多いのは6090円、中にはルールブックよりも高い7980円のものだってある。
(ちなみに一番高価なのはコロッサル・レッドドラゴンの10500円)
はっきり言って、これは学生のお小遣いで買えるという代物ではない。
特に、文庫ルールブックやムックサイズの3000〜4000円台のルールブックを中心に買っている人には、基本ルールブックだけで2万円近いというのはかなりの難物といえるだろう。
もちろん、基本ルールブックを始めサプリメントのほとんどが全ページフルカラー印刷であること、国内で印刷されていること、翻訳の手間がかかっていることなどを考えれば、内容的には十分満足の行く値段なのであるが、絶対価格として高価である。
しかも、D&D関連商品は書籍流通ながらも買いきり商品であるため、店側も売れなかったからといって返本することが出来ない。
したがって、多くの書店ではよほどのことがない限り、客の注文を受けてから発注せざるを得ない(キャンセルできないことを考えるとそれも難しいのかもしれないが)。
しかし、D&D関連商品は売れ続けている。

では、高価なD&Dを買い支えているユーザーとは、どんな人たちなのだろうか?
D&D3rdを英語版から遊んでいたヘビーユーザーは、基本ルールブックを何冊も持っていることも珍しくないと聞く。
英語版3.0が2冊、英語版3.5が1冊、日本語版3.0と3.5が1冊づつ…というように。
1997年にTSRがWizards of the Coastに買収され、メディアワークスとのD&Dの契約が解除されたとき、日本のD&Dプレイヤー達は路頭に迷ってしまった。
あるプレイヤーはコンベンションを開き続け、またあるプレイヤーは新和版やAD&Dを遊び続け、さらにはD&Dに別れを告げてしまったプレイヤーもいた。
しかし、2000年にD&D3rdが発売されると、英語版を遊んでいたヘビーユーザーが国内で遊び始め、2002年に日本語版が出ると、3rdを待ち望んでいたプレイヤーはもちろんのこと、それまでD&Dから離れていたプレイヤーも戻ってきたのだ。
ホビージャパンは潜在的なユーザーをも呼び戻し、また彼らの声に耳を傾けることで、積極的な販促活動やサポートに力を入れるようになった。
この姿勢が功を奏し、またユーザーも歓迎をもって応じたことが、今日の「D&Dサプリメント毎月発売」につながっていると思うのである。

もう一つの側面として、D&Dのプレイヤー年齢層が挙げられる。
今、D&D関連商品を毎月買い求めているプレイヤーの多くは、20年前〜15年前位に、新和版や電撃文庫版のD&D(今で言うクラシックD&D)で遊んでいたプレイヤーなのだ。
15年前に高校生や大学生だった人たちは、今や社会人になり、多くの場合は社会的、収入的に余裕が出てきている頃である。
そういう人たちは、毎月6000円7000円出しても、さほど痛い出費にはならないのだ。
そういう人たちが、D&Dを買い支えているユーザーなのである。

この価格帯がネックとなって、D&Dは若いプレイヤーには「手の届きにくいシステム」として認識されている。
そのため、「興味はあるけど高くて手が出せない」という潜在的プレイヤーが少なくなく、また表面化しにくいことから、現在のD&Dは若いプレイヤー、若いダンジョンマスターが育ちにくい環境下にある。
ホビージャパンはこれを解決しようといろいろ手は打ってはいるのだが(代々木でのコンベンションもこの一つ)、なかなか難しいようである。
今後に期待してますよ、ホントに。
値段ばかりは、俺一人じゃどうにもなりませんから。

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2008年2月22日 (金)

キャラクターのイラストは描きますか?

TRPGのキャラクターシートには、大抵の場合、キャラクターのイラストを描くスペースがありますよね。
皆様はイラストを描きますか?描きませんか?
私は描かないほうです。
絵がへたくそなので、描くと却ってイメージを壊してしまうんじゃないかと思う訳です。
キャンペーンや、同人誌制作のためのリプレイ取りのプレイだと、絵が描ける人が同じテーブルにいると、「自分のキャラクターはこんなイメージです」とか言うと、ありがたくもイラストを描いてくれたりもしました。
コンベンションでそういうお願いをしている人もいましたっけ。

キャラクターのイラストがあると、ゲームで感情移入しやすいという人もいますが、逆にないほうがイメージを膨らませることが出来て良いという人もいますので、これはもう人それぞれですよね。
ただ、テーブルの他のプレイヤーがみんなイラストを描いているのに、自分だけ空白のままでは、なんか無言の圧力があったりして。
「へのへのもへじ」でもいいって言うなら別ですが。
PBW(プレイ・バイ・ウェブ)のトミーウォーカー社は、「無限のファンタジア」「シルバーレイン」などで、プレイヤーの希望に応じて、(有料で)契約イラストレーターにキャラクターイラストを描いてくれるサービスをやってますね(無限のファンタジアTRPGルールブックの中にたっぷり例が載ってます)。

この頃のルールブックでは、「テンプレート」や「クイックスタート」などにキャラクターのイメージイラストが多く載せられていますので、それで代用してしまうって人も少なくありません。
だから、特にコンベンションでは自分のキャラクターのイラストを描く人は減ってきているような気がします。
あと、イメージというのは人によって受け取り方が異なるので、自分では「コレだ」と思っても、他のプレイヤーが見ると「なんか違うな…」と写ってしまうこともあるのです。
昔、ロードスやソードワールドが全盛だった頃、ソードワールドでエルフのシャーマンを遊んだことがあったんですが、D&Dのルールブックにあったエルフのように、目鼻立ちのキリリッとした男エルフの顔を描いたところ、隣のプレイヤーからクレームが来たことがありました。
「おまえ、そのエルフ怖いからやめろ。俺がちゃんとしたのを描いてやるからちょっとキャラシー貸せと。
その通りにしたら、彼の描いたイラストが、顔の縦横の比率が1対1に近い、とても恰幅の良いディードリットもどきになって返ってきました。
あの時はさすがに言葉を失いました…。

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2008年2月17日 (日)

コンベンション・ジプシー

コンベンションの参加者には、実にいろいろな人がいる。
老若男女、初心者、上級者、プレイヤー、ゲームマスター、Stuffなどなど。
好きなゲーム、遊びたいゲーム、プレイスタイルや考え方もさまざま。
今回紹介するのは、その中に一人はいるであろう存在、各地のコンベンションを渡り歩いていろんなゲームを遊んでいる、いわば「コンベンション・ジプシー」と呼ばれる人たちである。
(「コンベンション流浪者」とか「コンベンション難民」とか言うとアレなので…)

「コンベンション・ジプシー」は、特定のサークルに所属することなく(していることもあるが)、毎月、あるいは毎週、どこかのコンベンションに顔を出して、RPGを遊んでいる人のことを指す。
彼らが、なぜそうなったか?には、さまざまな事情が考えられる。
例えば、学校の卒業やサークルの解散などにより、プレイの場を失ってしまい、その機会をコンベンションに求めたとき。
地元にサークルがなかったり、会員を募集していなかったりしたとき。
例えば、サークルやキャンペーンで何らかのトラブルを起こしたり、物理的・非物理的事情でサークルにいられなくなってしまった時。
例えば、キャンペーンで自分がマンネリを起こしてしまい、気分を変えるためにコンベンションを出歩くようになったとき。
毎回違うメンバーで遊んで、自分の実力を試したかったり、力をつけるため。
新しい出会い(男女問わず)を求めて。
etc...

そんな彼らは、常に最新の情報を受信(または発信)しているのが特徴だ。
TRPG関連の情報メディア(雑誌、ニュース、ブログなど)を絶えずチェックしていて、新作商品などの情報に詳しい人が少なくない。
どのコンベンションでどんなゲームがよく遊ばれているか?ということもチェックしているので、「Aコンベンションでは文庫ファンタジーRPGが流行っていて、Bコンベンションでは文庫現代スタンダードRPGが、Cコンベンションだとアニメ化されたRPGが遊ばれている」なんて事も知っている。
だから、そのコンベンションの情勢にあわせたルールブックを持ってきたりするので、急な時にゲームマスターになることも多い。
各地のコンベンションを渡り歩いて経験を積んだプレイヤーは、他のプレイヤーにとっても心強い存在になる。
いろんなゲームのいろんなセッションを経験しているので、平均以上の適応力を発揮することがあり、遊んだ事がないシステムでも何とかしてしまうことがあるのだ。
初心者にはルールを教えたり、見せ場を作ってあげたり、時にはシナリオのかき回しに徹して裏を支えることも、極端な場合は、押しの強すぎるキャラクター(またはプレイヤー)の話の聞き手になって、その場を制御することもある。
大規模のコンベンションのStuffのなかには、かつていろいろなコンベンションを渡り歩いていたプレイヤーが数多くいるのも頷ける話で、まさに彼らの経験がコンベンションの運営に必要とされているからだ。

一方で、「コンベンション・ジプシー」の存在に賛意を示さないプレイヤーの存在も少なくない。
コンベンションでのプレイは、キャラクターを使い回すことはせず、その1回のゲームでのみ有効なキャラクターを作成して使用することがほとんどである。
(昔と違い、今は「キャラクター持ち込み不可」を言うコンベンションが多勢なので)
そのため「1回限りのキャラクターで1回限りのプレイをする」事に全力を注ぐため、コンベンションでのプレイは大味で、殺伐としたものになる傾向がある。
これに「コンベンション・ジプシー」特有の「キャラクターをその場で使い倒す」プレイスタイルが重なると、ゲームマスターが力負けしてしまったり、最悪の場合セッション崩壊の危機を招く可能性がある。
特に、キャンペーンゲームで、「一つのキャラクターを長い間遊び続ける」ことに面白さを感じているプレイヤーには、「キャラクターをその場で使い倒す」遊び方に違和感を感じたり、最悪の場合衝突ということも考えられるのである。
(もっとも、今のTRPGの主流のシステム構造が、「一つのキャラクターを長い間遊び続ける」というコンセプトではないということも根底にはあるのだが…)
また、まれにではあるが、特定のコンベンションに特有の「流儀」にコンベンション・ジプシーが対応できなかった(なじめなかった)場合、彼の存在は邪魔者扱いされることがある。
 先程、「常に最新の情報を受信(または発信)」と書いたが、この場合、その邪険にされたコンベンションに対するネガティブな感想を発信してしまうこともある。
特に「2ちゃんねる」などの悪質な誹謗中傷の場でネガティブな情報を発信されると、コンベンションStuffがそれを払拭するのに一苦労する、という光景はあちこちのコンベンションで見られている。
これも、「誰が来るか分からない」事を利用した「コンベンション・ジプシー」の問題点といえる。

なぜ「コンベンション・ジプシー」が増えているのかというと、10年前、20年前と比べて、特に都市圏において「コンベンション」が数多く開かれるようになり、敷居が低くなって誰でも参加しやすくなったから、というのが理由の一つであろう。
20年前~15年前のコンベンションといえば、サークルでお金を出し合って大きな会場を借り、各サークルから腕自慢のゲームマスターを擁立して、「うまいマスターのもとでうまいプレイヤーが良質なゲームを遊ぶ」というのが主だった。
だから、プレイヤー参加するほうも、「コンベンションに行く」といえばちょっと気負いがあるのが普通だった(当時サークルの先輩に「初心者はコンベンションに行かないほうが良い」と言われたのを覚えている)。
一方、現在では、コンベンションは「オープンでTRPGを遊ぶ場所」に変容しており、誰でもプレイヤーになり、誰でもゲームマスターになり、気負いなく遊べる場所として親しまれている。
以前に比べて、コンベンションの規模が縮小傾向を続けていることも、敷居の低さにつながっている。
敷居が低くなったことで、老若男女、プレイレベルの区別なく、誰でもコンベンションでTRPGを楽しむことが出来るようになったのだが、その延長線として、ゲームマスターのレベルのばらつきや、プレイヤーのプレイスタイルの違いに起因する諍いなどが顕在化してきて、そして、今回取り上げた「コンベンション・ジプシー」の増加があげられる。

もしあなたがコンベンションのStuffだったら、そんな彼らをどう扱いますか?

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2008年2月11日 (月)

深淵:領地の守り神

2/10のコンベンションにて、深淵第二版のGMを務めました。
シナリオは渦型ですが、当日の手間を削減するためにPCの運命をあらかじめ設定した状態でテンプレートを用意しました。
集まったプレイヤーは4人。
うち2人は深淵のプレイが初めてで、もう一人はルールブックを持参していましたがまだほとんど読んでいないという方でした。
私の知人がもう一冊ルールブックを持っていて、ありがたくも貸して下さいましたので、ルールブック3冊を置いてスタート。
用意したテンプレートは第二版ルールブック収録の「傭兵」「翼人の魔道師」「戦車の魔道師」「奇妙な旅人」。
テンプレート選択でかなり悩まれたようですが、それぞれ活躍の場があるということを説明して、無事に決定。
ルールブックを読んでもらいながら、基本的なルールと運命カードの使い方を説明して、運命の劇場の幕が開く…

傭兵 レイス
運命 13 変わり者の親族、05 不幸

ダリンゴース公国の首都フィレアで、口入れ屋アーヤンテルに雇ってもらって傭兵稼業をこなしているところに、親族であるオレゲール男爵から「力を借りたい」と手紙が届く。
男爵に縁故5点がある彼は「やれやれ・・・」と言いながらオレゲール男爵領に向かう。

翼人の魔道師 ドーファン
運命 86 支配者(魔道師学院)、44-11幸運なる魔法の加護

ドーファンは、過去に、古鏡座の塔で知り合った恋人メーアを、実験中の魔力の暴走で失っていた。
ある日、彼は翼人座の塔の高位の魔道師「さまよう翼ルーグ」から指令を受ける。
ルーグがいたのは、魔道師学院の最高意思決定機関「13人委員会」が開かれる部屋だったが、なぜかそこにいたのはルーグ一人だった。
「獅子王教団の力を抑えるために魔族の力を借りたい。封印を開放して欲しい」
その指令が、学院の意とするところではないことを疑いながらも、ドーファンは指令に従いオレゲール男爵のもとに向かう。

戦車の魔道師 グロウ
運命 75 守護者(原蛇の封印)、03 追放

彼は、魔道師学院で冤罪を着せられ、体に焼き印を押されて追放の憂き目に遭った。
帰る場所を失い彷徨っていた魔道師を、オレゲール男爵が「守り神の守護に」と迎え入れた。
彼はオレゲール家の陵墓にある原蛇の封印を守護する役に付いている。

奇妙な旅人 エラゴエル
運命 54 自己犠牲、67 不義の子

彼はオレゲール男爵の側室の子だった。
正室に男の子が生まれた時、側室とその子は領地を追い出された。
親族を頼ってダリンゴースに流れ着くも、後に母は何者かに殺されてしまう。
一人になった少年を救ったのは、「緑の猟犬」のメンバーだった…。
緑の猟犬が次に狙ったのは、オレゲール男爵領にある封印の開放である。
エラゴエルは仲間の3人とともに、商人の格好をして馬車で男爵領に向かう。

オレゲール男爵領はダリンゴースの辺境で、大きく高い丘陵地帯が領地である。
PCが男爵領に近づくと、道すがらでテントや天幕を張っているガタイの良い男達を見かける。
彼らこそ、版図の拡張のために派遣された「獅子王教団」の兵士達であった。
PC一行が男爵の屋敷で歓待を受けるとき、男爵は獅子王教団に対して「守り神があるから大丈夫だ」と平然としており、また魔道師学院からも魔道師(ドーファン)が来たから策はあると強調する。
しかしその裏では、獅子王教団の恐ろしさを知っていて、守り神を開放して連中を一掃しようと画策していたのだった。

翌日。
屋敷の裏にあるオレゲール家の陵墓にドーファンがやって来る。
陵墓の中央にある「原蛇の封印」を調べた彼は、この封印の強度が非常に弱くなっており、わずかな攻撃で封印が開放される状態であることを知った。
魔法知識でそのことを調べているドーファンを、グロウは怪訝な目でにらみつける。
グロウにとって、今「魔道師学院から来た存在」は邪魔者みたいなものだからだ。
昼、レイスが男爵の兵士と手合わせをしているところに、獅子王教団の隊長が男爵の屋敷を訪れる。
隊長はこの丘陵地帯が陣地として優れていることを告げ、「明日の天頂までに領土を明け渡すように」と説得(実質的な脅迫)にかかる。
男爵は青ざめ、兵士と領民に避難にかかるよう命じ、またエラゴエルに自分の妻子をフィレアに逃すように頼む。
エラゴエルが男爵の妻子の部屋に入る直前、妻子の部屋の大きな鏡が白銀の光を上げ、波打つ鏡面から「古鏡の魔道師リリメール」が現れ、妻子を逃そうとする。
直前の幻視で、間一髪間に合うエラゴエル。
彼の真の目的は、自分と母を追放した男爵とその正室の命脈を断つ復讐だったのだから。
魔道師学院に邪魔されてはひとたまりもない。
また、リリメールはドーファンに「魔道師学院からの指令書」を提示する。
そこには、「オレゲール男爵領にある、魔族の封印を開放するものを阻止せよ」と書かれていた。
おかしい。
ルーグの指令と逆だ?
だが、魔道師学院に縁故5が付いているドーファンは、リリメールの指令に同意する。

夜。
満月の明かりが輝く時間。
エラゴエルは他の商人とともに、男爵の妻子を馬車に乗せて出発する。
だが。
馬車は途中で止まる。
「お前がいなければ、母さんは汚名を受けずに済んだんだ!」
エラゴエルが鎌槍を持ち、その刃が月光にきらめく。
母の汚名をそそいだエラゴエルは、単騎で男爵の屋敷に引き返す。

エラゴエルの夢。
屋敷の奥の宝物庫で、奥にある宝箱を開ける男爵。
白い鞘に収められた短剣を手に取り、握って鞘を抜くと、波打つ刃が白く輝く。
「これがあれば守り神を呼び出せる…」

レイスの夢。
原蛇の魔方陣の中心で、オレゲール男爵が白い、波打つ刃の短剣を持ち、綻びかけた封印に向けて突き立てようとしている。
だが。
「守り神には新鮮な血が必要だ…」
男爵が後ろを向き、白く輝く短剣をレイスの心臓に突き立てる。
鮮血と絶叫が当たりに響く。

グロウの夢。
原蛇の魔方陣の中心で、オレゲール男爵が白い、波打つ刃の短剣を持ち、綻びかけた封印に向けて突き立てる。
刺したところから、魔方陣の紋章がミリミリと音を立てながら崩壊を始める。
そしてもう一つ、封印を破壊する音がする。
それは、漂白された片手を魔方陣に叩き付ける「緑の猟犬」の4人。
2つの滅びの奏でにより、今まさに魔族が現れようとしている…

ドーファンの夢。
魔道師学院の中央の塔にある「13人委員会」。
円卓には13人の魔道師…それぞれの星座の塔の主が座っていた。
その先にいたのはルーグ。
無断で封印を開放して魔族の力を使おうとしていたところを糾弾されていた。
ルーグは、ひそかにオレゲール領の封印「復讐の代行者バリアリゴ」を信奉する教団と、開放の盟約を結んでいたのだ。
ルーグの四方から、鎌槍を構えた4人の魔道師が現れる。
彼らは「典礼監視団」と呼ばれ、道を外れた魔道師に終末の秩序を与えることを任としていた。
白い4人は音もなく近づき、一斉に鎌槍を振り下ろした。
完全なる同時攻撃。
異端の魔道師の終焉であった。

期日の朝。
オレゲール男爵がレイスを呼ぶ。
グロウとドーファンも付いていく。
エラゴエルだけは丘を下り、準備をする獅子王教団のところに向かう。
男爵一行は陵墓の封印へ。
男爵が白い短剣を出したところでアクションシーンに。
まずレイスが背後から男爵に切り掛かる。
衝撃で白い短剣が手から落ち、転倒するが、騎士鎧を着た男爵には有効なダメージが行かない。
次にグロウが、つがえていた破魔矢の代わりに、2アクション使って普通の矢を放つ。
ダメージカードの中に「貫通」が1枚出たが、騎士鎧は二重鎧なのでこれも有効打にならず、かえって男爵の狂乱を誘発してしまった。
最後に、ドーファンが遮光眼を開け、白濁した瞳で「凶眼」を発動する。
これが決定打となり、男爵は声もなく動かなくなる…即死。
程なく、丘の下から獅子王教団の信徒達が、鬨の声を上げながら領地を進軍する。
エラゴエルが先導していた…

エンディング。

レイスは「変わり者の親族」の結末を見届けた。
男爵は領民や兵士を避難させた後に事を起こすことで、領主の責務を果たしたのだ。
フィレアに帰ったレイスのもとに、口入れ屋アーヤンテルから新しい仕事のお呼びかかかる…

ドーファンには幸運なる魔法の加護があった。
男爵に向けた「凶眼」が奏効したのも、亡き恋人メーアの残した魔力のおかげかもしれない。
魔道師学院に忠誠を誓い、本当の使命を果たした白き魔道師を、13人委員会は称賛する…

グロウは守護すべき「原蛇の封印」を守り通した。
やがて、リリメールが13人の封印者を魔道師学院から連れてきた。
彼らとともに「封印の強化」の儀式を執り行う。
これらのことをドーファンとリリメールが証言したことで、13人委員会はグロウの「魔道師学院からの追放」を取り消す。
彼に、再び安息と研究の場所が待っている…

エラゴエルは不義の父、そしてその妻子への復讐を果たした。
もはや、彼にとって封印などどうでも良かったのだ。
「やったよ、母さん!」
そう喜んで大声をあげるエラゴエルの背中を、風がやさしく後押しする。
その風の中に、母の声を聴くエラゴエル。
フィレアに戻った彼に、夢占い師が「あなたにはお母様の死霊が憑いております」と告げる。
これからはいつでも母に会えるのだ…

GMとしては予想していなかった「PC全員生還」という結末。
GMとしては、かたや男爵側につくレイスとグロウ、かたや「封印の開放」という共通の目的を持つドーファンとエラゴエルの対立という事を想定してシナリオを組んでいたはずなのです。
そして「男爵領を蹂躙した獅子王教団VS封印から抜け出した復讐の代行者バリアリゴ」という血まみれの結末を考えていたのでした。
そんな訳でそんな訳で。
深淵初体験のプレイヤー2人にも楽しんでいただけた様子で、GMとしては良い結果でした。
深淵のGMするのも2年近くぶりだったので、ルールを覚えているかどうか、ルールを第二版にちゃんと移行できるかどうか、なにより、感覚とテンション、イマジネーションを維持できるかどうかが内心不安だったのですが、無事に終えることが出来て良かった良かった。
プレイヤーの皆様、ルールブックを貸していただきました知人氏、どうもありがとうございました。

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2008年2月 2日 (土)

深淵第2版買いました

ゲームマーケット2008への参戦が確定しました。
公式サイトではまだ更新がありませんが、後日サークル紹介や配置が発表されるとのことなので、当日に向けてご注目頂きたいと思います。

2_3
待ちに待った「深淵第2版」が発売になりました。
イエローサブマリンでは前日入荷で売り切れと言う店もあったとかで(自分が行った川崎店ではそうだった)、自分はラゾーナ川崎の丸善で確保しました。
一通り読んでみましたが、ルールの骨格の部分は第1版と代わっていません。
変更された部分もコラムでまとめられていますので、容易に対応できるようになっています。
また、以前出たサプリメントはほとんどそのまま使用できるようになっているので、どっかの会社のゲームのように「版上げされたからサプリメント買い直し」のようなことはなくて安心。

本文は、表紙とテンプレート以外にはイラストは全くなく(テンプレートのイラストは全て銀龍亭異聞と同じ)、とにかく文章を詰め込んだと言う感じですが、第1版にあったような読みづらさは感じません。
(第1版のときは、重要なルールをカラーマーカーで色をつけていた記憶があるんです…)
収録テンプレートは16種類。

  • 歩兵

  • 弓兵

  • 傭兵

  • 騎士

  • 盗賊

  • 吟遊詩人

  • 踊り娘

  • 少年

  • 白馬を連れた娘

  • 夢占い師

  • 司祭(プラージュ)

  • 翼人の魔道師

  • 戦車の魔道師

  • 野槌のまじない師(幻術師)

  • 原蛇の魔道師(召喚者)

  • 奇妙な旅人

  • 戦闘系5人、一般ピープル(?)4人、魔道師系6人、その他1人と言う陣容。
    第1版で人気の高かった、騎兵、黒剣の魔道師、青龍の魔道師が外れたのは意外ですが、ギュラニン党の暗殺者「死せる魂の守護者」の6の位のようなどうやって遊べばいいんじゃー!?というテンプレートも載っていないので、とりあえずは普通に遊べそうな、またはそんなに難しくないテンプレートばかりそろえられています。
    しかし、各テンプレートは「銀龍亭異聞」のものとはいろいろデータ(運命とか)が違っているので、プレイ前にどっちのデータを使うか?の確認が必要かもしれません。
    ちなみに今回、翼人の魔道師(の呪文)がルール変更されており、凶眼で睨まれると即死するという凶悪な仕様となっておりますのでGMの皆様はご注意頂きたいと思います。

    基本的な判定方法は変わっておらず、6面体2つ+修正値+必要に応じてカードや推定寿命というもの。
    作業判定、カード判定、縁故のルールも健在。
    アクションシーンは微妙に代わっており、武器での防御値が「値分のダメージカードを捨てる」から「防御分の肉体ダメージを吸収する」になりました。
    また鎧での防御で、「手札を1枚捨ててダメージカードを1枚打ち消す」がなくなりました。
    「長い」と言われていた戦闘シーンを短くする対策なのですが、重要なので気をつけて下さい。

    大きく代わったのは「運命」「魔族」「運命カード」の3点。
    「運命」は使いにくい運命が差し変わった上で、カードナンバーや語り部とのマッチングが取られたため、同じ運命でもナンバーが変わっていたり詳細が変更されていたりするので、要注意です。
    例えば第1版の運命1番「魔剣」は第2版では27番に移動しています。
    「魔族」は「モールの魔道書緑色写本」になり、新しい魔族が追加されたり、名前が違っていたりと、時代による変容が生じた設定となっています。
    風虎の魔族「雷鳴の猟犬スパンダルキー」は「雷の大公メア・ゴーン」の下僕になってしまいましたが、こいつを勝手に召喚するテンプレート「薄幸の少女」はどうなってしまうのでしょうか?
    Dscf0074

    最大の変更点は「運命カード」です。
    第1版のものと違い、モノクロになり小型化しました。
    巻末にあるので92枚切り離さなきゃいけないんですが、これが結構気を使いました。
    下手に破り目を作ると何のカードか分かってしまうので…。
    切れ目は入っていますが、不安な方ははさみで切ると良いでしょう。
    92枚ありますが、カードが小さく薄くなったので、収納にはトレーディングカードのデッキケース(60枚くらい入るヤツね)が使えます。
    ただ、「血のごとく赤き」の赤札を混ぜて使うことは出来なくなりましたが…。
    レイアウトは裏表とも全く新しくなりました。
    中身ですが、作業判定の項目がなくなりました。
    ダメージは物理ダメージが増えているので、防御ルールの変更と合わせて戦闘がよりデッドリーになりました。
    あと、「語り部」のフォントがちょっと読みにくい。
    雰囲気重視なんだろうけど、文字が小さい分、もっと読みやすいフォントにして欲しかったです。


    血が一滴、したたった。
    無明の闇から、
    今、何かが誕生し、
    世界に波紋をもたらしていく。



    まだの方は、どうか是非、お手に取っていただきたいと思います。

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