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2008年2月23日 (土)

D&D隆盛の背景を考える

xenothの日記:TRPGは絶滅したか?

16年ほど前のTRPG界の過熱を知っている人は、時として「TRPGは衰退した」という人がいる。
しかし、本当に辛かった1995年から1998年あたりを「底」として考えれば、現在の状態は(16年前ほどではないが)かなり盛り返しているのではないか、と思える。
考えてもみて下さい。
TRPGを扱っている月刊誌が2つもあって、毎月新作なり関連商品が発売されていて、毎週のようにどこかでコンベンションがあって、プレイ環境は有志の手によって整備されている。
これは恵まれている状態ではないだろうか?

出版不況と言われる中、毎月毎月サプリメントをこれでもかこれでもかと出しているシステムがある。
あのD&Dである。
ホビージャパンが3.0を出す、と聞いた時は、誰も今のような状態を想像できなかっただろう。
だが、HJは最初こそもたついたものの、特に3.5が出る前後(もっと厳密に書けばフォーゴトン・レルムやエベロンが出たことで)勢いがつき、毎月サプリメントやらシナリオやらの関連商品が出るという、ファンにとってはうれしい悲鳴が続いている。
例えば、去年1年だけでも、これだけのD&D関連商品が出ているという事を調べたところがあるのでご紹介。

でみのげーむ:RPGの興隆の根拠

なぜこれだけ関連商品が出ているのかというと、ホビージャパンの輸入ゲーム事業課が本気になって展開しているのと、それに応える形で熱心なユーザーが商品を買い続けるという、需要と供給のビジネスモデルが成立しているからである。
事実、D&Dの基本ルールブックはもちろん、サプリメントも売れ続けていて、「不浄なる暗黒の書」「戦士大全」のように再版がかかったものもある。
(「次元界の書」や「サイオニクスハンドブック3.5」のように売れなかったものもたまにはあるが…)
しかし、ご承知のように、日本のD&D関連商品は基本的に高価である。
英語版のプレイヤーズ・ハンドブック3.5版はUS$29.95だが、日本語版は6090円。
しかもマスターするためには他にダンジョンマスターズ・ガイドとモンスター・マニュアルもいる(それぞれ6930円)。
基本ルールブック3冊だけで19950円!
深淵第二版のルールブック4冊買ってお釣りが来る値段である。
サプリメントも、安いものでは2000円台からあるが、一番多いのは6090円、中にはルールブックよりも高い7980円のものだってある。
(ちなみに一番高価なのはコロッサル・レッドドラゴンの10500円)
はっきり言って、これは学生のお小遣いで買えるという代物ではない。
特に、文庫ルールブックやムックサイズの3000〜4000円台のルールブックを中心に買っている人には、基本ルールブックだけで2万円近いというのはかなりの難物といえるだろう。
もちろん、基本ルールブックを始めサプリメントのほとんどが全ページフルカラー印刷であること、国内で印刷されていること、翻訳の手間がかかっていることなどを考えれば、内容的には十分満足の行く値段なのであるが、絶対価格として高価である。
しかも、D&D関連商品は書籍流通ながらも買いきり商品であるため、店側も売れなかったからといって返本することが出来ない。
したがって、多くの書店ではよほどのことがない限り、客の注文を受けてから発注せざるを得ない(キャンセルできないことを考えるとそれも難しいのかもしれないが)。
しかし、D&D関連商品は売れ続けている。

では、高価なD&Dを買い支えているユーザーとは、どんな人たちなのだろうか?
D&D3rdを英語版から遊んでいたヘビーユーザーは、基本ルールブックを何冊も持っていることも珍しくないと聞く。
英語版3.0が2冊、英語版3.5が1冊、日本語版3.0と3.5が1冊づつ…というように。
1997年にTSRがWizards of the Coastに買収され、メディアワークスとのD&Dの契約が解除されたとき、日本のD&Dプレイヤー達は路頭に迷ってしまった。
あるプレイヤーはコンベンションを開き続け、またあるプレイヤーは新和版やAD&Dを遊び続け、さらにはD&Dに別れを告げてしまったプレイヤーもいた。
しかし、2000年にD&D3rdが発売されると、英語版を遊んでいたヘビーユーザーが国内で遊び始め、2002年に日本語版が出ると、3rdを待ち望んでいたプレイヤーはもちろんのこと、それまでD&Dから離れていたプレイヤーも戻ってきたのだ。
ホビージャパンは潜在的なユーザーをも呼び戻し、また彼らの声に耳を傾けることで、積極的な販促活動やサポートに力を入れるようになった。
この姿勢が功を奏し、またユーザーも歓迎をもって応じたことが、今日の「D&Dサプリメント毎月発売」につながっていると思うのである。

もう一つの側面として、D&Dのプレイヤー年齢層が挙げられる。
今、D&D関連商品を毎月買い求めているプレイヤーの多くは、20年前〜15年前位に、新和版や電撃文庫版のD&D(今で言うクラシックD&D)で遊んでいたプレイヤーなのだ。
15年前に高校生や大学生だった人たちは、今や社会人になり、多くの場合は社会的、収入的に余裕が出てきている頃である。
そういう人たちは、毎月6000円7000円出しても、さほど痛い出費にはならないのだ。
そういう人たちが、D&Dを買い支えているユーザーなのである。

この価格帯がネックとなって、D&Dは若いプレイヤーには「手の届きにくいシステム」として認識されている。
そのため、「興味はあるけど高くて手が出せない」という潜在的プレイヤーが少なくなく、また表面化しにくいことから、現在のD&Dは若いプレイヤー、若いダンジョンマスターが育ちにくい環境下にある。
ホビージャパンはこれを解決しようといろいろ手は打ってはいるのだが(代々木でのコンベンションもこの一つ)、なかなか難しいようである。
今後に期待してますよ、ホントに。
値段ばかりは、俺一人じゃどうにもなりませんから。

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