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2006年11月26日 (日)

TRPGの「勝利」:キャラクターの勝利

前回に続き。

RPGのプレイにおいて、個々のキャラクターが「勝利」するというシチュエーションは、個人的には比較的新しいフィーチャーだと思う。
新しいと行っても、10年以上前なのだが。
それまでは、RPGでの勝利と言えば、「キャラクターが連携してシナリオを達成する」という、いわば「パーティーの勝利」が重視されていた(というか、それしかない、という場合もある。例えばT&T)。
キャラクターはパーティーでの役割を果たし、自分の能力を発揮して、他のキャラクターを助け、みんなで協力してクエストを達成することが「パーティーの勝利」であり「RPGゲームの勝利」であるとルールブックに書いてあったし、みんなそう思っていた。
ところが、この定義は、「パーティーが勝つことをゲームの目的としない」ゲームの登場によって崩れることとなる。
それまでのゲームは、キャラクターはみんな仲間だった。
だが、キャラクター同士が、ゲームが始まって終わるまで、ずっと赤の他人のままだったり、敵対関係にあるような設定が出来るシステムでは、仲間でなくてもいい。
ここで、パーティープレイによる「勝利」が消える。
すると、ゲームの勝ち負けの対象は狭く深くなっていき、「キャラクター個人の目的を達成できたかどうか」が勝利の判断基準となってくる。
私の知っている例で言えば、たとえば「深淵」では、プレイヤーキャラクター同士が対立していたり敵対していたりすることは異常ではなく、ごくありふれたゲーム設定としてマスターが用意することは珍しくない。
例えば、村娘を守る傭兵、村娘を魔族の生け贄にしようとする商人(奇妙な旅人)、村娘に歌の種を尋ねに来た吟遊詩人(異端イェロマーグ派)、そして村娘の金色の瞳を探求に来た弓兵(戦車の魔道師)・・・それぞれ目的が異なるし、全員が協力するということはまずあり得ない。
そうなると、先に挙げた「どれだけキャラクターの目的を達成できたか」がキャラクターの勝利をはかる指針となるだろう。
この例で言えば、傭兵と弓兵は娘を守るために協力するかもしれないし、吟遊詩人は魔族から直接伝説を聞くために、商人と結託して村娘を生け贄に捧げ、魔族の封印を解こうとするかもしれない。
こうなると、傭兵+弓兵vs吟遊詩人+商人という対決があってもおかしくない。
(ちなみに、この例では前者が戦闘力では圧倒的に有利だが、ひとたび封印を解いてしまえば形勢逆転となる。封印されている魔族にもよるが。)
ここで重要なのは、キャラクターの生死はゲームの勝利に関係ないということである。
個々のキャラクターが生き残れば生き残った時の結果が、そうでない場合はそうでない結果が用意される。
キャラクターに与えられた目的には、キャラクターの生死は含まれていない。
村娘の代わりに傭兵と弓兵の生き血を捧げても(多少効果は落ちるだろうが?)、うまく魔族解放に成功して伝説を聞き、直後に影響値で吟遊詩人が灰になったとしても、それはそれでいいのだ。

ただし、これはキャラクター間の対立が許されているシステムでの話。
従来のように、キャラクターがパーティーを組んで勝利を目指すシステムでは、個々のキャラクターの勝利は望めないのだろうか?
否。
キャラクターの持っている能力や機能を存分にふるうことがあれば、そしてそれがゲームの中で大きな効果を上げることが出来れば、それはそれで「キャラクターの勝利」ということが出来るのではないか。
先日、埼玉のコンベンションで「無限のファンタジア」のマスターを務めたのだが、1レベルの4人パーティー(武人、重騎士、忍び、医術士)でラストバトルに5レベルの牛グドン3体を出したのだが、牛グドンのうち1体が武人の「居合い斬り」で一撃で葬られるという素晴らしい結果を出すことが出来た。
(「無限のファンタジア」ルールブックをお持ちの方は以下をご確認下さい)
1:武人がアビリティ「居合い斬り奥義」で攻撃
2:「グリモアエフェクト」を宣言。プレイヤー4人中2人が「1」の目を出して16レベル成功
3:武人のロングソードの体攻撃力=11+成功レベル16+居合い斬り奥義のダメージ+24
4:「1」の目が出ているので、クリティカルダメージで2倍
5:(11+16+24)*2=102ダメージ
HP71の牛グドンが、まさに一刀両断。
ダイス目が良かったというのもあるが、一人の行動に対してパーティーのみんなが協力するルールのおかげで、こんなに素晴らしい結果が出た。
心に残るキャラクターの行動は、キャラクターの勝利の一つとも言える。

長々と書いたが、要は「キャラクターの本望や本分を達成できれば、キャラクターの勝利ということが出来る」と思う。

つづく

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2006年11月22日 (水)

TRPGの「勝利」って?

ゲームには勝敗がある。
TRPGもゲームである以上、勝ち負けが存在する。
ところが、TRPGには「勝利」の概念がないというように、教えられて来た。
クラシックD&Dには、「ゲームを終えた全員が勝者である」というようなことが書かれていた記憶がある。
しかし、これは本当だろうか?
実際、私もRPGをプレイしてパーティーが全滅したこともあるし、プロットで大失敗して自分だけ負け犬のような終わり方をしたこともある(確か●◎●●-●で。アレ以来あのゲームが嫌いになったんだよな)。
で、考えてみた。
RPGの「勝利」には、3つの意味合いがあると思う。

*1 キャラクターの勝利
*2 プレイヤーの勝利
*3 ゲームとしての勝利

これら3つが達成されれば「決定的勝利」になる訳だが、まれに1つとか2つの勝利条件しか達成されない「限定的勝利」もある。
これらの勝利について考えてみようと思うのだが、まだ先日のGMの疲れが残っているようなのでまた後日。

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2006年11月13日 (月)

ルールブックを買いました

新作というには少々古いが(夏に出たらしい)ルールブック「●●●ー●●●●」を買ってみた。
1688

FEAR作品を買ったのは2001年の「●●●●●ー●●」以来だから5年弱ぶりか?
前回の「●●●●●●」で反省していなかったのか、今回も基本ルールブックは文庫で、上級ルールブックは大判で発売されている。
っていうか、上級が基本の3倍以上の値段ってのはどーゆービジネスモデルですか。
なんですか、上級ルールブックは基本の1/3しか売れないからってことですか?
確かに買わなかったけどさ。
で、表紙を開けると、2分割されたキャラクターシートが綴じ込んである。
どういうことかというと、シートの左半分は表紙の後ろに、右半分は裏表紙の前にあって、それぞれ切ってはり合わせてからコピーしろということらしい。
・・・唖然。
コピーする人の手間ってものを考えてないんですかね?
上級ルールブックでフォローされているんならいいが。
むしろしろ。
で、ルールブックの書き方なんだが、以前に比べかなり洗練されたように思う。
もともと、●●●ー●無印が「FEARゲーの中で一番ルールが読みやすい」と言われていただけあって、その血は受け継がれているらしい。
ただ、どうしてもFEARのルールブックの記述法が好きになれない。
「〜する」「〜となる」「〜である」という言い切り口調が気になるのだ。
D&Dの場合は全く気にならないが、どうもFEARの場合は「これからお前たちにルールを教えてやる!よく読めウジ虫共!」とハートマン軍曹の声が聞こえてきそうで。
私は●●●ー●無印はプレイ経験が4回、ffはゼロだが、根幹の内容は同じらしいのでじっくり読み進めていこうと思う。
という訳で詳細は次回?

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2006年11月11日 (土)

入門者への壁の高さ

 これを読んでいる皆さんは、TRPGの入門のための様々な知識、例えば用語などを、どのような媒体で知って、覚えたでしょうか?
ルールブックに用語集がありましたか?
リプレイで読んで覚えましたか?
それとも、まず遊んでみて、他のプレイヤーに聞いたりして覚えましたか?
 過去に同人誌を編集していて感じたことですが、TRPGの用語は、TRPG全体に通用するものと、特定のジャンル(例えばファンタジーやサイバー世界など)や特定のメーカーの作品で使うものと、特定の一つのゲームシステムでしか使われないものに大別されます。
 このうち、特定のゲームで使用されるだけの用語は、新作ゲームが一つ出るごとに、何十もの言葉が出てくるので、到底把握しようがありませんが、使われるのがそのゲームだけなので、そのゲームを遊ぼうとしないのならば、特に覚える必要はないものです。
 それでは、TRPG全体で使われる用語、すなわちどんなゲームでも使われている用語はどうでしょうか。
例えば、「プレイヤー」と「ゲームマスター」の違いは何でしょうか?
「ヒットポイント」の意味が分かりますか?
一般的な用語は、あまりに常識的すぎて広く使われているため、いざ説明する時に「アレ?何だっけ?」とうまく説明できないこともあるかもしれません。
それだけ溶け込んでいるということなのですが。
 では、一般的なTRPGの用語群が説明されているものが、何か思い浮かぶでしょうか?
出版物でも電子的手段でもですが、現在ではほとんど見受けられません。
せいぜい、ゲームのルールブックに付属している用語集くらいしか見当たらないのです。
 しかも、これは用語集に限りません。
現在手に入る、TRPGの入門者向けの書籍は、ゲーム・フィールドコミックス「RPGなんてこわくない!」のただ一つしかありません。
これには簡単に用語集が載せられています。また、2001年にアトリエサードから出た「TRPGがやりたい!!」にも、見開き2ページの用語集が載せられています(が、その後2003年に出た「TRPGがもっとやりたい!!」では、アイウエオ順の後ろ1/3がバッサリ切られてしまっています)。
 それでは、普遍的なTRPGの用語はどこかに載っているでしょうか?
残念ながら、どこにもありません。
ゲームのルールブックに載っている場合もありますが、これも必要最低限のものなので、一般的な用語であっても、そのゲームで使われないものは載っていないことがよくあります。
「●ー●ー●・●ー●●」「Role&Roll」「RPGamer」といったRPG雑誌にも、用語集は載せられていません。これは一体、どういうことなのでしょうか。
 問題点は用語だけにとどまりません。
現在多数発売されている「リプレイ」にも、RPGの入門者が読むには問題点があります。
元々、ルールブックはそのゲームで遊ぶためのルールが収録されていて、「遊び方」が分かるようになっています。
しかし、実際にどうやってルールを使って遊べばいいのかが書かれているルールブックは多くありません。
D&D3.5eで言えば、ダンジョンマスターズガイドに「プレイの実例」として、実際のゲームの例が少し載せられています。
ところが、リプレイは基本的に、ゲームを遊んだ結果のみを掲載しています。どんなルールをどのように使ったか、例えば敵を攻撃するためにどんな戦闘ルールを使ったか、などについては書かれていません。
リプレイでは、戦闘などのルール的な処理は、読んでいて煩雑で面倒なので、編集で「攻撃します。コロコロ・・・命中!」というように抽象化されてしまいます。
実際どうやったかはルールブックの該当部分を読み合わせてみないと分かりません。
ですから、リプレイだけでは、RPGの遊び方は良く分からないようになっています。
これも、RPG入門者への「壁」の一つです。
 15年以上前に出た「D&Dがよく分かる本」には、(クラシック)D&Dを実際に遊んでいるリプレイが、キャラクターの作成方法から詳細に記述されていました。
ルール上の説明が必要なところには、そこで使われるルールの説明がしっかりと載っています。
こういった、「ルールが分かるリプレイ」こそが、今必要とされているのではないでしょうか?
 「TRPGの入門書」に話を戻すと、1990年代前半には、実に出色のRPG入門書が数多く出ていました。
また、入門者向けにルールを簡易化したシステムもありました。
TRPGの入門人口が急激に増加していたため、そういった入門書もよく出ていたのです。
 しかし現在ではどうでしょう。
一時期の「冬の時代」を脱し、新しいプレイヤーは来続けているのに、それを迎え入れるための「受け皿」が衰退してしまっています。
入門書はほとんどなく、用語を解説したものもなく、多くの場合が入門者に「まずリプレイを読め」という教え方になっています。
しかし、そのリプレイは「読者がルールを知っていることを前提に書かれたもの」だった場合(多くがそうですが)、RPGの入門の助けとならない場合があります。
RPGのプレイ結果だけ読まされても、そこでルールがどう使われたのか分からなければ、ルールを覚える助けにならないのです。
ルールを覚えなくても遊べるRPGというのはありませんから、先にルールブックを読ませて、その後リプレイで感じをつかむというのなら理にかなっています。
ですが、現在のRPGの営業展開では、先にリプレイを出し、その後にルールブックを出すという形がメインになっています。
これではあべこべです。
 そこで私は、過去に多数発売されていたTRPGの入門書が、何かしらの形で再び世に出ないものか、と思っています。
そのまま通用しないにしても、現在の形に直せば、多少の修正で使えると思うのです。
ぜひともご一考頂きたいと思います。

 TRPG入門者への「壁」がもう一つあります。
経験者から入門者への「ノウハウの継承」がうまく行われていないのです。
 特に、2000年以前に遊んでいたプレイヤーと、それ以後からTRPGを遊び始めたプレイヤーでは、ゲームを遊ぶために使う知識や経験が、量はともかく、「質」が変わっているのです。
 これは、その前後に発売されたシステムの「遊び方」が大きく変容したことをも表しています。
 1999年に『日本最後のRPG』という触れ込みで「BEST BIND〜魔獣の絆〜」が発売されましたが、その後にもTRPGの新作が、少しずつですが発売され続けました。
それらの新作には、今までのRPGの遊び方を大きく変える要素が含まれていたのです。
今多くのRPGシステム(といっても一つの会社ですが)で取り入れられている「シーン制」「シーンキャラクター」「レコードシート」などの概念は、1998年の「●ー●ー●◎●● the Revolution」から始まったものです。
このゲームが好評を博したことから、これを製作した会社は同様のシステム概念を盛り込んだ新作を多発し、他のデームデザイナーや出版社にも影響を与えました。
 さて、「シーン制」のRPGシステムが隆盛をもたらしている現在、それ以前のゲームで遊び続けて来たプレイヤーたちは、その影響を受け入れるかどうかで大きく悩み続けています。
ある人は受け入れて、新しいゲームで新しい人と遊ぶようになりました。
またある人は受け入れることが出来ずに、従来の遊び方のゲームを遊び続けています。
 「古い」ゲームで遊び続けて来た人たちは、「シーン制」システムで遊ぶことに少なからず抵抗感があります。
なぜなら、「シーン制」システムは、それまで自分たちが培って来たプレイング・マスターリングの方法を、根底から覆すに近い、全く新しい概念で遊ばれているからです。
つまり、「今までの遊び方が通用しない」のです。
多少の経験はあっても、一から遊び方を覚え直さなければならなかったのです。
しかも、プレイングもマスターリングの方法もちゃんとルールブックに書いてあるのです。
昔のように入門書を読み、先輩方に遊び方を学んだり盗んだりする必要がなくなりました。
そして年を追うにつれ、「シーン制」システムが隆盛してくると、先人たちは自分のやり方が通用しないことに失望もしくは脱力を感じ、コンベンションから足を外し、自分たちのやり方が通用するサークルや、身内だけのキャンペーンに移行していってしまいます。
 もちろん、「シーン制」システムも完璧ではありません。
プレイヤー一人一人にスポットを当てるためのシーン管理や、プレイヤーにきっかけを与える「ハンドアウト」、戦闘のバランス調整が難しい(そして余計かもしれないがルールブックが読みにくい)ことで、ゲームマスターの負担や手数が増加していたり、キャラクターの特技を組み合わせて、効率が良くてダメージ値の高いコンボを組み合わせて披露することが『ロールプレイの向上』と誤解されやすいことなどです。
 一方、「シーン制」システムでは、それまで「パーティー」としてひとまとめにされて来たキャラクターに、一人一人の活躍の場を与えました。
その「シーン」でロールプレイする場が十分にあります。
しかし、ここ2・3年の話ですが、シーンの下でのロールプレイがうまく出来ないというプレイヤーをコンベンションで見かけることがあります。
キャラクターの役割は決まっているのに、ハンドアウトで立ち位置は分かっているのに、自分のシーンになると何をどうしていいのか分からないというプレイヤーです。
しかも、これは入門者に限った話ではなく、プレイ経験が2年3年あるプレイヤーにもこの傾向が見られます。
 ロールプレイがうまいプレイヤーなら、その迷っているプレイヤーに、さりげなく助言をして、キャラクターの行動を引き出すことも出来ます。
本来はゲームマスターがやるべきことなのですが。
しかし、このごろはそうした手を差し伸べるプレイヤーもコンベンションでは減ってきました。
これも、入門者へのノウハウの継承がうまく行っていない例です。

 10年前、15年前のプレイヤーたちは、RPGを遊ぶために様々な環境を整え、それを他のプレイヤーにも共有するようなことが行われていました。
RPGへの知識が盛り上がりを見せ、プレイヤーが急増していた頃です。増え続ける入門者に対し、サークルでは初心者対応マスターを用意し、RPGの入門書も雑誌も豊富で、遊ぶための環境が一通り揃えられた感があります。
 それから現在。
RPGの環境は発展したでしょうか?
一時期と比べてと比べて新作の発表数は増えましたが、入門者に優しい状態にはなっているでしょうか?
ただ単に「入門者にはリプレイを読ませればいい」と考えているだけでは、入門者への間口がどんどん狭まっていくのは必死です。
 それを防ぐには何が出来るでしょうか?
例えば、サークルやコンベンションで、会報やパンフレットにRPGの用語の説明を載せてみたり、RPGの基本的な遊び方の説明を紹介することが出来るでしょう。
入門者に負担の少ないシステムのゲームマスターを用意して、RPGを体験してもらうのもいいでしょう。
 実際に遊んでいる人たちばかりが分かる「入門の壁」を、本当の入門者が乗り越えられるには、単に「遊べば分かる」では不十分です。
壁を乗り越えられるように、例えばスロープを用意してやるのも、RPGのプレイヤーを定着させるために必要だと私は思います。

(Macの練習用に書きためた原稿より)

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2006年11月 5日 (日)

コミケ落ちました

タイトルの通りですが、落選しました。
実は今回本を作らない予定だったのですが、在庫をどうしよう・・・
夏の本「RPGの品格」はプレイスペース広島様で通販していますので、ご注文お待ちしております。
同人活動は来年春まで冬眠します。

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